ここ最近、体操界のパワハラ問題がメディアに大きく取り上げられていますね。体操だけでなく、レスリングやボクシングなどスポーツ界でのパワハラの告発が相次いでいます。

上層部が権力を使って選手を脅したり、支配して思い通りにしようとするのは絶対に許されないことです。パワハラが起きやすいシステムを根本から見直す必要もありそうですね。

これを機会にパワハラについての理解が広がり、パワハラを許容しない社会につながっていくといいなと思います。

パワハラとは何か?

ここで、パワハラについて少し整理してみたいと思います。

厚生労働省によるパワハラの定義は以下のとおりです。

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

出典元:パワハラの定義|厚生労働省

パワハラは上司から部下に対して行われるものだけでなく、同僚間や、部下から上司へ行われる場合もあります。

職場での優位性…パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせをさして使われる場合が多いですが、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます。

出典元:パワハラの定義|厚生労働省

パワハラは主に6つの類型に分けられます。

1. 身体的な攻撃 例)叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。丸めたポスターで頭を叩く。

2. 精神的な攻撃 例)同僚の目の前で叱責される。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る。

3. 人間関係からの切り離し 例)1人だけ別室に席をうつされる。強制的に自宅待機を命じられる。送別会に出席させない。

4. 過大な要求 例)新人で仕事のやり方もわからないのに、他の人の仕事まで押しつけられて、同僚は、皆先に帰ってしまった。

5. 過小な要求 例)運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられる。事務職なのに倉庫業務だけを命じられる。

6. 個の侵害 例)交際相手について執拗に問われる。妻に対する悪口を言われる。

出典元:パワハラの6類型|厚生労働省

パワハラを受けた場合

パワハラを受けていると感じたら、早い段階で周りの人に相談しましょう。メモや録音などがあると後々役に立ちます。

1. どんなことをされたのか記録する
パワハラと思われる行為をされた場合は、いつどこで誰が何を何のために(5w1h)したのかを記録しましょう。後々の事実確認などで有効なので、メモや録音など最適な方法で記録を残すことをお勧めします。

2. 周囲に相談する
パワハラは我慢していても解決しません。それどころかエスカレートする可能性があります。一人で悩まず、まず同僚や上司に相談しましょう。周りの協力を得ることで、パワハラを行う本人が自らの行為に気づく場合があります。

3. 会社の窓口や人事担当者に相談する
上司に相談できない場合は、人事部や社内相談窓口に相談しましょう。会社等の組織は、相談者が不利益にならないよう、プライバシーの確保を配慮することを求められています。

4. 外部の相談窓口に相談する
社内に相談窓口がない場合や、社内では解決できない場合は、外部の相談窓口に相談しましょう。全国の労働局・労働基準監督署にある総合労働相談コーナーは、無料で相談を受け付けており、電話でも相談できます。

出典元:パワハラにあったらどうする?|厚生労働省

パワハラについては厚生労働省のサイト「あかるい職場応援団」に詳しく説明されているので、興味のある方は読んでみてください。動画もたくさん用意されています。

パワハラを予防するには?

パワハラが起こる背景には組織の抱えるさまざまな問題が関係していることが多いので、個人の努力だけでパワハラを予防することは難しいと思いますが、日頃から周りの人たちとコミュニケーションを取り、困ったことがあったらいつでも相談できる環境を整えておくとよいと思います。

また、自尊心の低い人は、他人から理不尽な扱いを受けても「自分が悪いのだから仕方ない」と考えてしまうこともあるので注意が必要です。

何も対処せずに放っておくと、パワハラ行為がさらにエスカレートすることもあります。また、パワハラによるストレスが原因で、うつ病などのこころの病気になってしまう人も多いです。早めに自分の感情に気づき、自分自身を守ることが大切です。

パワハラ行為をしている人のほとんどは、自分がパワハラ行為をしているという自覚はありません。自分の行為がパワハラにあたると気づけば、それまでの言動を改める可能性もあるでしょう。

パワハラを受けていると感じたとき、決して一人で抱え込んだり、我慢しつづけないでください。上司、人事部、社内および社外の相談窓口に相談しましょう。

また、周りの人がパワハラを受けているように感じたら、その人に声をかけてあげてください。誰にも言えず、一人で悩んでいるかもしれません。

クレッセントでもパワハラに関するご相談を受けています。パワハラによって傷ついた心のケアもしていますので、悩んでいる方はぜひご相談ください。

心理カウンセラー 高田奈津子

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