国会議員の杉田水脈氏によるLGBTに関する発言が多くの議論を呼び、各地で抗議活動なども行われています。

多くの批判を浴びている「LGBTは生産性がない」という趣旨の発言はいうまでもなく差別発言であり、断じて許されるものではありません。

しかし、それ以前に私が気になったのは、同議員の「LGBTだからと言って、実際そんなに差別されているものでしょうか」という発言です。

昨今はLGBTを題材にしたドラマや映画なども数多く作られており、LGBTの認知度は急速に高まってきているようにみえますが、今もなお差別や偏見は根強く存在しています。

LGBT当事者の約6割がいじめを経験

2016年に行なわれたLGBT当事者の意識調査によると、小・中・高校の学校生活におけるいじめ被害は、全体の約 6 割が経験していました。

職場や学校で差別的な発言を経験した人は 71.7%に上り、職場や学校でカミングアウトしている人は全体の 27.6%にとどまっています。

これらの数字を見ても、LGBT当事者にとって日本は差別のない社会であるとは言えないと思います。

出典:日高庸晴 宝塚大学看護学部教授 「LGBT当事者の意識調査 -いじめ・職場環境問題-」

カミングアウトには勇気がいる

日本の芸能人や著名人にも性的マイノリティはたくさんいるはずですが、公にしている人は非常に少ないですよね。

最近では、経済評論家の勝間和代さんが同性の恋人の存在を告白しましたが、ツイッターで「人生で最大の勇気が必要でした」とつぶやいています。

私は同性を好きだって、わざわざ公表をしないといけないって、本当は変ですよね。私は左利きですって、いちいち公表しないのと一緒で。

でも、LGBTのカミングアウトには勇気がいる。それこそが、偏見や差別が残っている証です。

出典:同性を愛するということ 勝間和代のカミングアウト

また、日本では現在13人に1人が性的マイノリティと言われていますが、街中で手をつないで歩いている同性カップルはほとんど見かけません。

実際には多くの同性カップルが存在しているはずですが、同性同士では手をつないで歩くことが難しいというのが現状です。

同性カップルに対して差別や偏見が全くないのであれば、誰もが好きな人と堂々と手をつないで歩けるはずです。

「同性愛は趣味」という誤った認識

杉田議員以外にも、ほかの国会議員や東京都の区議会議員などから「同性愛は趣味みたいなもの」という趣旨の発言があり、ほんとうに驚きました。

異性愛と同じように、同性愛は趣味ではありません。

そもそも、「性的指向」や「性自認」は自分で選べるものではありません。

もし自分の好きなように性的指向や性自認を選べるのなら、差別や偏見の対象になりやすい「性的マイノリティ」として生きることを選択する人はどれだけいるでしょうか。

同様の誤解をしている人は世の中にたくさんいると思います。そうした誤った認識からも、差別や偏見は生まれているのではないでしょうか。

なお、性的指向と性自認については、こちらの法務省人権擁護局のサイトでわかりやすく解説されています。

まとめ

LGBT当事者を生きづらくさせている大きな要因は、私たちの誤った認識や、無知、無理解だと思います。

差別や偏見をなくすためには、私たち一人一人がLGBTについての知識や理解を深め、自分に何ができるかを考え、行動していく必要があるのではないでしょうか。

LGBT当事者は、社会のどの分野にも普通に存在しています。勇気を出してカミングアウトする人たちも増えてきました。

こちらの動画もぜひ見てみてください。勇気をもらえますよ!(*^_^*)

誰もがみんな、自分らしく、幸せに生きられる社会になりますように。

心理カウンセラー 高田奈津子

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