今日は、「いじめ」についてお話ししたいと思います。
いじめは、どこにでも存在します。学校、職場、ママ友、親戚、そして家族の中でもいじめは起こります。
また、年齢も関係ありません。幼い子どもから高齢者まで、どのコミュニティでも、どんな関係性でも、いじめは起こる可能性があります。
では、いじめはどうして起こるのでしょうか。
いじめが起こるメカニズム
いじめの根本にあるものは「怖れ」です。
人間は誰でも、多かれ少なかれ「自分には価値がない」、「ありのままの自分では愛されない」といった怖れを持っています。
なぜかというと、私たちはこのような怖れを持っている親(保護者)に育てられ、怖れに満ちあふれている学校や職場などのコミュニティの中で生きているからです。
物心つくようになると、人は気づかないうちに自分が抱えている怖れを他人に投影するようになります。
ある人は、自分の抱えている怖れを刺激する「何か」を他人に感じたとき、その人を否定したり、排除したり、攻撃したり、支配したり、上に立とうとすることで、自分の中にある怖れを打ち消そうとします。
その結果、相手が苦痛を感じるとそれは「いじめ」になります。
パワハラ、モラハラ、セクハラなどのハラスメントも本質的には同じことです。
「ありのままの自分には価値がない」という怖れは根源的なもので、強大なパワーを持っています。そのため、この怖れの感覚を感じている状態では身動きがとれなくなってしまうのです。
だから、自分のなかにある怖れを映し出し、あぶり出すような他人は見たくないのです。
いじめをする人は、攻撃したり支配することによって相手を無力化し、自分のなかの怖れをなかったことにしようとします。
それが集団になると、歯止めがきかなくなります。一人一人が持っている怖れは、自制心でなんとかコントロールできるかもしれません。
しかし、個々の怖れが集団のなかで一つになってしまうと、怖れは何倍にも膨れ上がり、暴走してしまうのです。
また、集団の中にいると責任の分散も起こります。他人と同調することで、自分に責任があると感じにくくなるのです。
そして、いつのまにか自分が怖れによって支配されていることも、他人に対して酷いことをしていることにも気づけなくなってしまいます。
いじめをするのは自己肯定感の低い人
もうおわかりだと思いますが、誰かをいじめる人は「ありのままの自分は価値がない、愛されない」という怖れを多く抱えている人です。
つまり、いじめをする人は自己肯定感が低いのです。もちろん、自己肯定感が低い人がみんないじめをするわけではありません。
いじめをする人は、自分のなかの怖れを直視するのが怖いため、他人を攻撃したり、排除したり、支配することで自分のなかの怖れを見ないようにしているのです。
そうすることによって自尊心を保とうとするわけです。それしか自分自身を保つ方法を知らない人、とも言えます。
子どもを虐待する親、毒親といわれる人たちも、このような怖れを抱えています。そして、子どもを攻撃したり支配することによって、自分の自尊心を保とうとします。
一方、自己肯定感が高く、ありのままの自分を受け入れている人は、抱えている怖れも少なく、精神的に安定しています。
他人によって自分のなかの怖れを刺激されたとしても、自尊心が大きく揺らぐことはありません。だから、わざわざ他人を攻撃したり支配することによって自尊心を保つ必要はないのです。
長くなってしまったので、この記事は2回に分けます。後編につづきます。
※自尊心:「自分には価値がある」と感じていること。自己肯定感も同様の意味です。
カウンセリング&セラピー クレッセント
心理カウンセラー 高田奈津子
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